事例5 書道家への道

質問

「書」に興味がありまして、書道家への道を考えているのですが、インターネットを検索しても、なかなか参考になるような情報が見つかりません。まず、国が実施している毛筆検定から始めようとは思っていまして、最終的には地元で書道教室を開校したり、カルチャーセンターで教えられるレベルまで到達したいと思っているのですが、もし自分のセンスがついていけば、最終的には高名な書道家に弟子入りして書家として個展を開いたり、海外で教えたりできればいいなと考えています。(夢ですが)そこで、奈良近辺で、毛筆検定の講座を開講している専門学校などがあるかどうか、通信教育なども含めて幅広く探していただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
それと出来れば、書道人口がどれくらいであるかも知りたいところです。趣味ではなく「職業」として選ぶ場合、芸術家として活動できる方は例外として、市場に需要がないと将来的な見通しがありませんので。

 

回答
お 名 前:○○ ○○ 様
会員番号:************
受 付 日:2004/03/01
回 答 日:2004/03/05
ご 質 問:書道家への道について

 いつもリクエストをありがとうございます。前回の「婦人病専門の漢方薬局」の回答はお役立ていただけたようですね。安心しました。今回は以下のように回答いたします。

■はじめに
 文部省認定の「毛筆書写検定」資格は、4級から1級までありますね。
 試験の内容は、技法のみならず理論も問われ、とくに1級(大学生、一般社会人程度)では書道史も出題されます。文字の成り立ちや変遷などを理論づけて勉強することが肝要でしょう。
 お手本に忠実に書くことができれば、4級(中学生程度)、3級(中学生、高校生程度)は合格できるといわれます。2級(高校生、短大生程度)では応用力が要求され、1級は独創力が必要です。この1級に合格すれば、指導者として教室などを開くことができますが、まったくの独学では厳しいかもしれません。

 さて、毛筆書写検定の取得を目的とした学校はあまり多くないようです。ご指定の奈良周辺ではみあたりませんでした。受講内容に応じて、カルチャースクールや通信教育などをうまく組み合わせて学習なさってみてはいかがでしょうか。ただ、カルチャースクールは、平日わりと早い時間から始まる講座が多いのがビジネスマンにとっては難点ですね。

 

■カルチャースクール
 次のカルチャースクールで、書道に関するいくつかの講座があります。

 ●朝日カルチャーセンター 大阪センター・奈良センター
  http://www.asahi.com/acc-o/culture-pr.html

 ●毎日文化センター 梅田教室
  http://www.maibun.co.jp/courses/calligra/index.html

 ●大阪よみうり文化センター 天満橋センター・梅田センター
  http://www.oybc.co.jp/

 

■公開講座
 奈良市にある下記の大学では、書道に関するオープン・セミナー(公開講座)を開催したことがあるそうです。いまのところ今年の受講内容は未定ということですが、ご興味がありましたらお問い合わせされてみてください。

 ●奈良教育大学 公開講座/書道
  http://www.nara-edu.ac.jp/ADMIN/SOUMU/kokai03.htm

 

■通信教育
 下記の学校や書道団体で、通信教育の講座があります。

 ●がくぶん総合教育センター
  http://www.gakubun.co.jp/lecture/a02.html
  http://www.gakubun.co.jp/study/a02.html
  ※通信教育に「総合書道」の講座があります。毛筆書写検定の試験対策ではありませんが、 対応は1級相当とあります。

 ●日本書道専門学校
  http://www.nss.ac.jp/
  ※東京本校には毛筆書写検定の講座がありますが、通信教育部は初級・中級・上級コース(各1年)です。

 ●日本書道教育学会
  http://www.lincs.co.jp/shogaku/
  ※通信教育部には、書道基礎科、書道専攻科、書道史初級、書体別書道史の各講座があります。

 ●日本書道学会
  http://www009.upp.so-net.ne.jp./N-ShodouGakkai/
  ※通信教育があります。

 ●日本書道芸術学院
  http://www.nitsu-shogei.gr.jp/
  ※通信教育があります。

 

■書籍
 検定関係のガイドブックがあります。

 ●『毛筆書写検定ガイド 実技1・2級』
  績木湖山監修 日本習字普及協会 1996年発行 2200円

 ●『毛筆書写検定の臨書』
  江守賢治著 日本習字普及協会 1992年発行 2700円

 

■書道団体
 全国にはたくさんの書道団体があります。また、それぞれの流派を受け継いだ書道教室も多数あります。お住まいに近いところを中心にいくつかご紹介します。

 ●日本書道育成会 学書院
  http://www.geocities.jp/shingyo_o/index.htm
  ※東大阪市に本部をおく書道教室です。

 ●浪速書道会
  http://www.shodo-art.com/top.shtml
  ※50年余の歴史ある書道会です。

 ●日本書道学院
  http://www.gakubun.co.jp/shodou/index.html
  ※全国に日本書道学院が認定する教室があります。

 ●日本書芸院
  http://www.nihonshogeiin.or.jp/top/t_index.html

 ●書道研究 書源社
  http://www.jade.dti.ne.jp/~minamoto/

 

■その他
 今後の情報収集に役立ちそうなウェブサイトをご紹介します。

 ●書☆World
  http://www.shodo.co.jp/index.html

 ●書道ページなび
  http://shodo.com/navi/

 

■おわりに
 書家は、漢字やかなの文字を使う表現者です。たぶんご存知だと思いますが、書の世界のアヴァンギャルドといわれ、斬新な筆使いは海外でも高い評価をえている柿沼康二さんという書家がいますね。

 ●柿沼康二さんの公式サイト
  http://www2u.biglobe.ne.jp/~k1018/

 書家になるには、特定の書家に師事するというやり方が一般的だと思いますが、大学の書道専攻科で学ぶ方法もあります。柿沼康二さんも手島右卿氏や上松一条氏に師事しながら、東京芸術大学教育学部書道科で学んでいます。
 しかし、仕事を続けながら大学に入りなおすわけにはいかないと思いますから、書道教室や書道塾などで多くの師匠に基本的な技術を学んだのち、展覧会やコンクールに出展する方法もあると思います。また、いろんな書道団体が独自に基準を定める級段位認定制度を受けて、書道の世界で認知されていくという方法もあるでしょう。

 ところで、全国の書道人口というのはどれくらいでしょうか。「レジャー白書」(2002年版)をみてみますと、余暇活動参加人口で、書道は530万人という数字が出ています。ただしこれは、15歳以上の男女3000人に対してアンケートをおこない、回答数に15歳以上人口をかけて割り出した推計です。もっとも多く書道教室に通っているはずの小中学生層が含まれていません。そういう意味では、書道人口とはいえませんね。
 実質的な書道人口は1500万人ともいわれますが、近年その数が減少の傾向にあるようです。書道を学ぶのは何も小中学生ばかりではありませんが、これから少子化がすすみ、書道教室を開業するのもなかなか大変かもしれません。

 しかしながら、筆文字を書ける人は減っていますので、さまざまな分野で需要がでてくるとも考えられます。商業的なので本道からは外れるかもしれませんが、筆文字を使ったカリグラフィーもありますね。好きなことを仕事にできるわけですから、成せばなるものです。がんばって夢を実現させてください。

 

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